「あ、おかえり」
その一言を、穏やかな笑顔で返せる自分でいたい。
私の人生の真ん中にある志は、家族が心から安心できる「居場所」であることです。
けれど、現実はいつも理想通りにはいきません。 もともと心配性で、予定が少し狂うだけで心がざわついてしまう私。 家事や育児に追われ、自分の姿勢が崩れていることさえ気づかない日もあります。
そんな私を、もう一度「今、ここ」に引き戻してくれるのが、ヨガの知恵でした。 なぜ、心が乱れた時に「身体」を整えることが、これほどまでに効果的なのでしょうか。
焦りの正体。なぜ心は勝手に「暴走」するのか
予定が狂ったとき、心の中で「どうしよう」「間に合わない」と焦りが生まれる。 この時、私たちの体内では「闘争・逃走反応」というプログラムが作動しています。
これは、原始的な脳の部位である「扁桃体」がストレスを検知し、自律神経を交感神経優位(興奮状態)へと一気に切り替える仕組みです。
- 呼吸が浅くなる(酸素を取り込もうとする)
- 肩が内側に入り、背中を丸める(急所を守ろうとする)
- 筋肉が緊張し、姿勢が崩れる
面白いほど、体と心は密接につながっています。 猫背で胸が閉じている状態は、解剖学的に見れば、肺を圧迫し、深い呼吸を物理的に妨げている状態。すると脳は「呼吸が苦しい=危険な状態だ」と勘違いし、さらに不安や焦りの信号を送り出してしまうのです。
つまり、「焦っているから姿勢が崩れる」だけでなく、「姿勢が崩れているから、焦りが止まらない」という負のループに陥っているのです。
身体は、今すぐアクセスできる「心のスイッチ」
心を変えるのは、とても難しいことです。 「焦るのをやめよう」と念じても、脳の防衛本能にはなかなか勝てません。
けれど、身体という「土台」を整えることなら、私たちは今すぐ、物理的なアプローチとして取り組むことができます。
ヨガや解剖学の知恵が教えてくれるのは、「外側の形を整えることで、内側の神経系をなだめる」という手法です。
背骨を一つずつ積み上げるように立てて、胸をひらく。 たったそれだけの動作が、圧迫されていた迷走神経を解放し、脳へ「今は安全だよ」という信号を送るスイッチになります。

【実践】キッチンで自分を取り戻す「軸の調律」
主婦の私たちには、マットを広げる時間さえ惜しい時がありますよね。 だからこそ、私は「キッチンに立つ瞬間」を、自分を取り戻すためのマインドフルな時間に変えています。
1. 四点で地を掴む(グラウンディング)
包丁を置いたその足元。 親指の付け根、小指の付け根、かかとの内側と外側。 この「足裏の4点」で、しっかりと床を感じてみてください。 大地に根を張るように立つだけで、浮足立っていた心がすっと落ち着いていきます。
2. 鳩尾(みぞおち)をなだめる
ついつい反ってしまいがちな腰。それは焦りからくる過剰な緊張かもしれません。 ここで、「鳩尾」をほんの少しだけ内側に引き込んで、力を入れてみます。 背中側へ向かって、鳩尾を優しく仕舞い込むような感覚です。
解剖学的に言えば、これは腹圧を高め、腰椎を保護する動作です。 これだけで腰への負担が減り、お腹の底から「私はここにいる」という安定感が生まれます。
3. 天と繋がる(エロンゲーション)
最後に、頭のてっぺんが空から吊るされているような感覚で、背筋を伸ばします。 肩の力を抜き、耳と肩の距離を遠ざける。 1分間、正しく「ただ立つ」だけで、身体の中を新しい空気が巡り始めます。
志に寄り添う、身体という伴走者
身体という土台が安定すると、不思議なことが起こります。 あんなに焦っていた心が、ふっと静まり、「今、ここ」に戻ってくるのです。
そこでようやく、私は思い出します。 「ああ、私は家族が安心できる居場所でありたかったんだ」と。
イライラして誰かを急かすことではなく、穏やかな呼吸でそこに在ること。 私の志を叶えるために必要なのは、強い意志力や完璧なスケジュール管理ではなく、ただ「整った身体」という伴走者でした。

可能性を広げる、最初の一歩
身体は、一生付き合っていく、一番正直なパートナーです。 メンテナンスを怠れば錆びついてしまうけれど、知恵を持って接してあげれば、それはあなたの可能性をどこまでも広げる土台になります。
「効果的に、そして安全に」身体を扱う知恵は、あなたの人生をより自由で、より志に近いものにしてくれるはず。
もし今日、心がざわつく瞬間があったら、まずはキッチンで足を揃え、鳩尾を仕舞い、深い呼吸を一つ。 あなたの志が、真っ直ぐに花開く準備を始めてみませんか?
|Information
心と身体を、あなたの志に伴走させるために。
ブログでお伝えしている「身体の土台作り」を、より深く、体感として学びたい方へ。 現在、以下のクラス・講座を開催しています。
1. ヨガクラス:75分のグループレッスン
忙しい日常の中で、自分の軸を立て直すための定期的なメンテナンスクラスです。「時間がないからこそ、効果的に動く」メソッドを、今のあなたに合わせてお伝えします。
2. 身体と心の土台を築く:ヨガ指導者養成講座
単なるポーズの習得だけでなく、解剖学的な根拠に基づいた「安全な体の使い方」と、それを日常や志にどう活かすかという「伝える力」を養います。ご自身の可能性を広げたい方、そして誰かの安心を支える存在になりたい方のための、一生ものの学びの場です。

[ 🔗 詳細はこちら ] ご相談はお気軽にどうぞ。
最新記事 by saki (全て見る)
- 家族の安らぎを守るために。焦りのスイッチを切り、志に立ち返る「身体の整え方」 - 2026年2月18日
- ポーズだけじゃない!ヨガの「本質」を学ぶRYT200養成講座 - 2025年8月13日
- ヨガで人生を変える秘訣、ヨガ上達への近道3選 - 2025年6月4日

この記事へのコメントはありません。