「ヨガって、身体を柔らかくするエクササイズでしょ?」
「ポーズを綺麗にとれるようになるのがゴールなのかな?」
もし、そんな風に思っている方がいたら、「実はね……」と、お話ししたいことがあります。
もちろん、身体がスッキリするのもヨガの素晴らしい魅力。
でも、ヨガの本当の楽しさは、ポーズのその奥にある、広大な思想の海に隠されているんです。
その源流にあるのが「インド哲学」であり、すべての大元となるのが「ヴェーダ聖典」という古代の知恵。
そこには、私たち現代人が、毎日を心地よく、真に幸せに生きるための「心の取扱説明書」が書かれています。
今日は、難しそうな哲学のお話を、できるだけ優しく紐解いて、日常に活かせるように残してみます。
八支則(はっしそく):毎日を心地よくする8つのステップ
ヨガの歴史はとっても古く、その起源は約5000年前の古代インドにまで遡ります。
この長い歴史の中で、先人たちが「どうすれば人は苦しみから解放されて、本当の幸せを感じられるんだろう?」と研究し、体系化してくれたロードマップがあります。
それが、真の幸福へ至るための8つのステップ、「八支則(はっしそく)」です。
これは階段のようなもので、目に見える自分の行動を整えることから始まって、少しずつ、心の深いところへと向かっていきます。
例えば、最初のステップにある「ヤマ(禁戒)」の中には、アヒムサ(非暴力)という教えがあります。
「誰のことも傷つけない」という意味ですが、これは他人に対してだけではありません。
「身体が硬くてポーズができない……」と、できない自分を心の中で責めてしまうことも、実は自分に対する小さな「暴力」となります。
責めるのではなく「今は、ここまで出来た。」と、そのままの自分を優しく受け止めてあげる。
そんな心のあり方も、立派なヨガの実践のうちです。
アーサナ(ポーズ):形を追うのをやめると、身体が喋りだす
私たちが普段スタジオで行うアーサナ(ポーズ)。
ヨガ哲学において、これは単なるストレッチではありません。
自分自身の心と対話するための、大切な「動きの哲学」です。
初心者のうちは、どうしても「先生と同じ形にならなきゃ!」と、外側の正解を追いかけてしまいがちですよね。
でも、本当に大切なのは「お手本と同じ形になること」ではなくて、「今、自分の内側で何が起きているか」に意識を向けることと言われています。
「あ、今、右の太ももの裏が心地よく伸びているな」
「呼吸を吹き込んだら、胸のあたりが少し広くなった気がする」
そうやって、全身の微細な感覚に意識を置いてあげる。
形を追いかけるのを手放して、自分の身体の声をじっくり聴いてあげること。
この「今、ここ」にある感覚を大切にする体験こそが、ヨガが教えてくれる精神性の第一歩と私は思います。
プラーナヤーマ(呼吸法):生命エネルギーを調整する
ヨガ哲学では、呼吸のことを単なる空気の出し入れではなく、「プラーナ(生命エネルギー)」と呼びます。
なので、プラーナヤーマ(呼吸法)というのは、文字通り「自分の生命力を自分で調整する」ということなんです。
お仕事や育児でバタバタして、心が「あーっ!」となっているとき、気づくと呼吸が浅く、速くなっていませんか?
それは、エネルギーの波がちょっぴり乱れているサイン。
そんなときは、静かに座って、鼻から吸って、鼻から長ーく吐き出す呼吸を数回繰り返してみてください。
すると、外側の慌ただしさに振り回されていた心が、すーっと穏やかな凪の状態に戻っていくのを感じられるはずです。
身体の中を巡る生命のエネルギーという流れを自分がケアできる喜びをぜひ体感して欲しいです。
瞑想(メディテーション):心のシャワー
瞑想と聞くと「頭を空っぽにしなきゃいけないの?」と難しく感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
瞑想は、一日中フル回転で働いてくれた「心の詰まりを優しく洗い流す時間」です。
お家の中で、1分だけでも構いません。
お気に入りのクッションに座って、背筋をすっと伸ばし、ただ自分の自然な呼吸に意識を留めてみます。
よく聞かれるのですが、途中で「あ、今夜のご飯何にしようかな」「あの仕事、どうなったっけ」と、他の考えが浮かんでくるのは、ごく自然なことですよ。
大切なのは、他のことを考えている自分に「あ、今意識がどっかに行ってたな」といち早く気づいて、また優しい呼吸へと意識を戻してあげることです。
この「気づいて、戻す」という小さなお稽古を繰り返すことで、日常のストレスや感情の波に巻き込まれそうになったとき、一歩引いて自分を客観視できる、しなやかな心の強さが育まれていきます。
マントラ(音のヨガ):音物語で心に安らぎを
ヨガには、声を出すことで内側を整えるマントラ(音のヨガ)というアプローチもあります。
サンスクリット語で、マントラは「心を保護し、導くための音の道具」という意味を持っています。
言葉が持つエネルギーを、音の「振動」として全身で感じていく実践です。
例えば、私がレッスン最後に唱える「シャンティ」という言葉。
これには「平和」や「静寂」という意味があります。
声を出して響かせるだけで、身体の余分な緊張がほどけて、ポジティブなエネルギーが内側に満ちていくから不思議です。
科学的にも、マントラを唱えることは自律神経を整え、心拍数や血圧を落ち着かせる効果があると言われています。
それと、マントラを学ぶとヨガ哲学の学びも深まります。
ヨガ哲学を、お守りのように日常に散りばめて
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